講義日誌 yasuyuki shinkai

明治学院大学文学部フランス文学科 慎改康之

現代思想論

総まとめ

キュニコス派とキリスト教との関係について前回話したことをもう一度整理し直した後、前回のコメントに対する回答、そして最後に今年度の授業の総括を行いました。政治的パレーシア、倫理的パレーシア、キュニコス派のパレーシアに関する考察を通じて、現在…

王としてのキュニコス派

キュニコス派の生の続きとして、王としての生の話。ディオゲネスとアレクサンドロス大王の対面のエピソードを紹介しました。 次回は、キュニコス派とキリスト教との関係について簡単に話した後、今年度の総まとめを行います。

真の生から別の生へ

今回はキュニコス派の生。ギリシアにおいて一般的に「真の生」とみなされていたものを、キュニコス派がどのようにして極端化し、反転させて、「別の生」を生きるに至るのかということを説明しました。

キュニコス派のパレーシア

本日より、キュニコス派について。学説ではなく自らの生そのものによって真理を示す、というキュニコス派のパレーシアを、残りの授業では扱っていく予定です。今日はとりあえず、キュニコス派とはどのようなものか、その基本原則はいかなるものかということ…

自己への配慮への配慮

『ラケス』の冒頭および中盤について簡単におさらいをした後、エピローグを読み、解説していきました。神によってソクラテスに与えられた使命が実際に果たされて、皆が自己への配慮へと向かう様子が描かれていましたね。 ソクラテスの倫理的パレーシアについ…

率直に語ることの困難

前回のコメントにいくつか答えた後、ようやく『ラケス』のテクストへ。冒頭部分を読み、パレーシアとエピメレイアが密接に結びついているのを確認しました。次回は末尾の部分で、無知を暴露された人々がソクラテスとともに自己への配慮へと向かう様子を見て…

レポート

2012年度後期現代思想論期末レポートについて、詳細を以下に掲載しましたので、受講生の方は確認してください。現代思想論2012年後期レポート

ラケス

本日はまず、後期レポートの詳細についてしゃべりました。内容は近日中に慎改の個人サイトに掲載しますので、少々お待ちを。 今日もやはり、コメントに対する回答にちょっと時間をかけすぎてしまい、『ラケス』については概要の紹介しかできませんでした。次…

エピメレイアとパレーシア

前回、「配慮」についてよくわからなかったというコメントが多かったので、今日はおさらいに時間をかけました。ソクラテスの使命が「自己への配慮」を目標とするということについて、もう一度詳しく説明しましたが、理解してもらえたでしょうか? 『ラケス』…

自己への配慮

『ソクラテスの弁明』の最終回。人々に対してその無知を知らしめるというソクラテスの使命には、人々が自分自身を絶えず高めることを促すという目標があるということ。「汝自身を知れ」という命令が、「自己への配慮」という問題に従属するものであること。…

ソクラテスの使命

ソクラテスが政治に携わらないのはなぜか。この問いから出発して、ソクラテスには政治参加よりもはるかに重要な使命があるということの確認にまで到達しました。 次回は、その使命が正確にどのようなものであるか、そしてその目的は何かということについて考…

ソクラテスのパレーシア

今日からソクラテス。ソクラテスはなぜ、政治的パレーシアを拒絶し、倫理的パレーシアのみを行使することになったのか、そしてソクラテスのそのパレーシアはいったいどのようなものであるのか、という問いを、『ソクラテスの弁明』を読みながら考えていきま…

前期のおさらい

前期授業でやったことのおさらいを、前期からの受講生にちょこちょこ質問しながら比較的丁寧にやってみました。「政治的パレーシア」の後は、「倫理的パレーシア」の話。まずは、プラトン『ソクラテスの弁明』を扱いながら、ソクラテスのパレーシアとはどの…

レポート

本日は、あらかじめ準備してもらったレポートを、教室で書いてもらいました。ちゃんと書けましたか? これから時間をかけてゆっくり読ませてもらいます。

総まとめ

今回は前期の総まとめ。政治的パレーシアから倫理的パレーシアへと至る歴史を、おおざっぱにおさらいしました。だいたいの流れを把握し直すことができたでしょうか? 次回は予定どおりその場レポートです。しっかり準備しておいてください。

陶片追放

アリストテレス『政治学』のなかの、陶片追放に関する記述について。他の人々よりもはるかに優れた人々を追放する制度としての陶片追放は正当化可能なものではあるけれど、徳において圧倒的な優れた人が現れた場合には、他の人々はその人に自ら進んで従わね…

よき多数者支配とは?

プラトン『国家』による民主制批判に少々補足を加えた後、アリストテレスの『政治学』へ。彼が統治形態を分類する際の多数者支配の位置づけについて解説しました。 来週は、アリストテレスが、あまりに優れた者を追放する制度としての陶片追放をどのように考…

民主制批判

パレーシアの分裂から、ギリシアにおける民主制批判へ。本日は、民主制においては真実を語ることが不可能であるということに関して、プラトン(『国家』)が船の比喩を使って語っている部分を紹介しました。 次回は、アリストテレス『政治学』において民主制…

悪しきパレーシア

「オレステス」における悪しきパレーシアの使用を紹介。これでエウリピデスの悲劇を終え、イソクラテスへ。「平和について」のなかに、パレーシア概念の分裂を確認しました。 次回は、パレーシア批判から民主制批判へ。プラトン、アリストテレスを紹介する予…

前期レポート

現代思想論前期レポートについて、以下に内容等の詳細を掲載しましたので、確認してください。現代思想論2012年前期レポート

エウリピデスのパレーシア(4)

今日は前回に引き続き「イオン」。劇の展開にパレーシアが大きく絡んでいるということを、パレーシアが問題となる二つの場面の分析を通じて説明してみました。 次回は、やはりエウリピデスの作品「オレステス」のなかで、パレーシアという語が悪い意味で用い…

エウリピデスのパレーシア(3)

「エレクトラ」を簡単に紹介し、そこで用いられている「パレーシア」の用法を確認。その後で、パレーシアが中心的テーマとなっている作品「イオン」について、まずはそのあらすじと物語の背景を少々詳しく説明しました。 次回は、「イオン」におけるパレーシ…

エウリピデスのパレーシア(2)

エウリピデスの2回目。前回の「フェニキアの女たち」について簡単に補足した後、「ヒッポリュトス」および「バッコスの信女」を検討し、当時の「パレーシア」が、地位や名誉によって与えられる権利であったということを確認しました。 次回もエウリピデス。…

エウリピデスのパレーシア(1)

本日よりようやくエウリピデスのパレーシアへ。 まずは、古代ギリシアや悲劇に関してある程度知ってほしいと思い、ギリシア民主政の成立までの歴史と、そこでの悲劇の役割とを、極めておおざっぱに解説。それから、エウリピデスの作品「ヒッポリュトス」のな…

再度教室変更

火曜4限の現代思想論は、まだ教室が狭いので変更してほしいとの希望が多かったため、明日5月8日より再度教室変更となりました。受講者の方は掲示等を確認しておいてください。

著作紹介の続き

またしてもおさらいがかなり長めになってしまい、失礼しました。なるべく最初のうちにいろんな疑問に答えておこうと思ったもので。 今日は結局、著作紹介をかなりおおざっぱに一通り終えました。次回からは、エウリピデスにおけるパレーシアの問題に入ってい…

著作紹介など

本日は前回のおさらいを少々長めにやって、著作紹介へ。現在の問題を考えるために歴史を遡る、というフーコーのやり方について、少しイメージがわいてきたでしょうか? 次回は、著作紹介の続きを終えた後、エウリピデスの悲劇作品におけるパレーシアについて…

パレーシア

簡単に前回のおさらいを済ませた後、フーコーによる古代ギリシア・ローマ研究へ。「すべてを語ること」を意味するギリシア語「パレーシア」を紹介し、これが一般的に言ってどのような問題を孕むのかを解説して、大昔のこの概念について考察することが現在の…

教室変更

現代思想論の授業は、受講者多数のため、教室変更となりました。第一回の授業で臨時に移動した教室とも異なりますので、受講生の方はポートヘボンで確認してください。

イントロダクション

授業の進め方や成績評価のやり方などを簡単に解説。その後で、この授業の主題「自分が考えていることを率直に、自由に語ること」に関して、そこに孕む問題とは何かということを受講者一人ひとりに質問、答えてもらいました。相手を傷つける危険があるけれど…