講義日誌 yasuyuki shinkai

明治学院大学文学部フランス文学科 慎改康之

人間学の眠り

「物自体」の話をおさらいしつつ、人間に固有の有限性をめぐる問いかけがどのようにして思考の眠りを導くことになるのかという、この授業のクライマックスへと突入しました。乗り越えがたいものとして現れたものを、その乗り越えがたさを維持したまま乗り越えようという、ある種倒錯的な企ては、無償の饒舌を量産することしかしない無限の任務であるということ。


ただ、「基礎」についての話をするために比喩を用いたのがかえって混乱を招いたようで失礼しました。次回は、今日の話を主体の側および客体の側の「超越論的なもの」を中心にとりあげ直す予定です。