講義日誌 yasuyuki shinkai

明治学院大学文学部フランス文学科 慎改康之

「生とは、死に抵抗する機能の総体のことである」

今回は、現代思想論および青学特講で紹介したビシャによる「生」の定義について。


「抽象的考察のなかで生の定義が探求される。私が思うに、その定義は、次の一般的洞察のなかに見いだされるであろう。すなわち、生とは、死に抵抗する機能の総体のことである

実際、生体は、自らを取り巻くすべてのものによって破壊されようとしている、という存在様態を持つ。無機の物体は絶えず生体に作用を及ぼす。生体同士も互いに絶え間なく作用を及ぼしあう。したがって、生体がもし自らのうちに反発のための恒常的原理を持たないとするなら、生体はただちに死に至ることであろう。生体に備わるそうした反発の原理、それが生の原理である。この原理は、その本性においては未知であり、ただその諸現象によってのみとらえられうる・・・」


Xavier Bichat, Recherches physiologiques sur la vie et la mort, Paris, Flammarion, 1994.