第10回
前回の『臨床医学の誕生』に関する解説がちょっとわかりにくかったようなので、今日は、死体解剖が医学の本質的任務となるその契機についてもう一度やり直し。そしてそれから、医学的知の変容と人間学的思考との関係をめぐって、可視性の問題と有限性の問題に触れました。次回は、『臨床医学の誕生』と同年にフーコーが著した『レーモン・ルーセル』を、とりわけ見えるものと見えないものとの関係についての言及に注目しつつ解読していく予定。
参考文献
ミシェル・フーコー『臨床医学の誕生』、神谷美恵子訳、みすず書房、1969年
ミシェル・フーコー『言葉と物』、渡辺一民、佐々木明訳、新潮社、1974年