講義日誌 yasuyuki shinkai

明治学院大学文学部フランス文学科 慎改康之

青学特講

第23回『知への意志』(3)

マルクスやフロイトに関して提出された前回の質問に対して答えていたら、今日予定した内容をあまり進めることができず、失礼しました。とりあえず大急ぎで「生権力」についてしゃべりましたがいまいち言葉足らずだったように思うので、次回、もう一度取り上…

第22回 『知への意志』(2)

まず、前回の質問に対する回答として、フロイトおよびマルクスにおける諸概念について解説。それから、カトリックの告解と精神分析の夢解釈との近縁関係に関するフーコーの分析を紹介しました。次回は、性の問題の社会全体への拡張を可能にしたとされる権力…

第21回 『知への意志』(1)

まず、個人を作り変えるテクノロジーとしての「ノルマリザシオン」について解説。それから、『性の歴史』第一巻『知への意志』へ。今日は、抑圧の仮説とそれに対するフーコーの異議申し立てを明確にするところまでやりました。次回は、性に関する言説の増殖…

第20回『監獄の誕生』(3) およびレポート締切訂正!

本日はまず、レポート締切日を訂正。前回は31日を締切日にしようと言ったんだけど、教務課でのレポート受付が22、23、24日の三日間のみということなので、締切を一律に24日水曜日に変更しました。次回もまたお知らせしますが、お間違えのないよう! 授業の内…

第19回『監獄の誕生』(2)

今日はまず、学期末レポートの締切、提出方法などについて簡単に説明しました。これについては、次回の授業でもう一度しゃべるつもりです。また、近日中にWeb上にも詳細を掲載する予定。 『監獄の誕生』については、前回の話を簡単におさらいした後、規律権…

第18回『監獄の誕生』(1)

本日より70年代の権力の軸。ただし、やはり問題は「主体の学」。人間の真理を語る言説がある種の権力のメカニズムといかに密接な関係を持っているかということを見ていきます。まずは1975年の『監獄の誕生』について、身体刑と「君主権的権力」との関係を解…

第17回『言葉と物』(3)

本日でひとまず『言葉と物』を終了。深層の発明と人間の特権化との関係、そして主体をめぐる問いがはらむ「前批判的混同」について、なるべく日常的語彙を用いて説明したつもりですが、いかがでしたでしょうか?次回は質問に対して答えた後、1970年代の権力…

第16回『言葉と物』(2)

『言葉と物』第2回。「表象の分析」をめぐる前回の内容を受けて、本日は「深層」の発明から「人間」の登場まで。とくにカントの「物自体」の話を中心に進めました。次回は、今日の授業に関する質問に対して回答したうえで、有限性の地位向上、人間学の眠り、…

第15回『言葉と物』(1)

本日より、『言葉と物』について。『臨床医学の誕生』からの流れを再確認した後、「深層の発明」と「有限性の分析論」とに焦点を絞った解説を開始。でもそれでもやはりちょっと話がややこしすぎたようで、いまいち反応は芳しからず。来週からはもう少しシン…

第14回 後期イントロ

後期第1回。特講は通年の授業ということで前期のレポートはとりあえず象徴的なものとして出してもらったんだけど、後期の最後にはちゃんとしたものを書いてもらいます。そこで、そのための注意事項をいくつか。また直前になったらあらためて指示します。 そ…

第13回

今学期最後の授業は、『これはパイプではない』に関する考察の後編。マグリットの作品における絵画の表象機能の問題化および二種類の類似の提示について。 後期は9月26日から開始です。レポートどうぞよろしく。 そして授業後、7月末にフランスに帰国するエ…

第12回

『レーモン・ルーセル』と『臨床医学の誕生』との交叉する地点として、「構成されたもの」としての「見えないもの」をめぐる分析を紹介した後、マグリット論『これはパイプではない』へと移行。まずは、イメージと言葉との乖離を描いたマグリットの絵画によ…

第11回

今日はレーモン・ルーセルの「手法」とそれに関するフーコーの分析について。秘密の暴露によって秘密が消え去るどころか逆に無限に増殖してしまうプロセスを、ルーセルのテクストを部分的に紹介しながら考察しました。次回はちょっとした補足を済ませた後、マ…

第10回

前回の『臨床医学の誕生』に関する解説がちょっとわかりにくかったようなので、今日は、死体解剖が医学の本質的任務となるその契機についてもう一度やり直し。そしてそれから、医学的知の変容と人間学的思考との関係をめぐって、可視性の問題と有限性の問題…

第9回

本日は『臨床医学の誕生』をコンパクトに解説。「臨床医学」から「病理解剖学」への移行に近代医学の成立を見るフーコーの分析を紹介しました。「死」についての考え方の変化についてあまりよくわからなかったという声がいくつかあったので、次回、もう一度…

第8回

本日は構造主義の話の続きと『臨床医学の誕生』のさわりだけ。構造主義については、近親婚の禁止および夫婦の役割分担のうちに社会の再生産(相互依存状態の創出)という機能を解読するレヴィ=ストロースの手続きを簡略に紹介。『臨床医学の誕生』に関しては…

第7回

『狂気の歴史』が書かれた当時におけるフランスの思潮を概説。まず、1950年代まで支配的であった人間主義的思考をその現象学的側面とマルクス主義的側面とに図式的に切り分け、そこにフーコーが1954年に残した二つのテクストをそれぞれ位置づけてみました。…

第6回

『狂気の歴史』3回目。18世紀末に狂気がもっぱら内面にかかわる現象とみなされるようになるプロセス(狂気が実証的精神医学の対象として構成される第三のプロセス)を、当時の「道徳療法」と関連づけながら解説。それから、狂気に関する知と「人間学的思考…

第5回

『狂気の歴史』の第2回目。前回のおさらいとして、ルネサンスおよび古典主義時代において狂気がどのようにとらえられ、どのように扱われていたのかということを少々詳しく説明した後、18世紀末以降、狂気が医学的対象となり、主体性の消失(アリエナシオン…

第4回

今回より『狂気の歴史』。この著作において何が問題になっているのかを簡単におさらいした後、ルネサンスと古典主義時代において狂気がどのようなものとしてとらえられ、どのようなやり方で扱われていたのかについて解説。次回は、近代ではどうなるのかをし…

第3回

まずフーコーの主要著作概観の続き。84年の『性の歴史』第2巻、第3巻について簡単に紹介。次に、私自身がフーコーの「哲学」をどのような観点から分析していくのかということをこれもごくおおまかに解説し、ようやく内容に関するイントロダクションを終了…

第2回

フーコーの主要著作のうち、『狂気の歴史』から『知への意志』までを概観。来週は、80年代の著作を紹介し、フーコーの研究活動全体を貫く一貫性についてざっと説明した後、それぞれの著作についての詳細な解説へ。まずは『狂気の歴史』から始めます。授業の…

第1回

雨の渋谷駅から旧東邦生命ビルを横目に青山学院大学西門へ。門の左手15号館11Fの仏文科合同研究室にて粛々とコピーを済ませていたら大学の後輩でもあるイダ氏と遭遇し軽く挨拶。教室に向かおうと退室しエレベーターで彼のゼミの学生さん2名とひとことふた…