講義日誌 yasuyuki shinkai

明治学院大学文学部フランス文学科 慎改康之

特殊研究

発表(ゴダール、レネ)

本日より映画に関する発表開始。第一回はJ=L・ゴダールとA・レネについてお二人にやってもらいました。ゴダールは「時間の闇の中で」、レネは「夜と霧」および「二十四時間の情事」について。いずれもツボを押さえていてお見事でした。来週はE・ロメールとF…

第20回 ルノワールと「脱出」

先日に引き続きジャン・ルノワールについて。出たり入ったりの映像を「外」との関係の顕在化としてとらえつつ、彼の作品を貫く「脱出」のテーマとからめながら考察しました。そしてさらに、「素晴らしき放浪者」のパリもやはりひとつの「外」であるというこ…

第19回 ルノワール

まず前回に見てもらった三つの長回しについて解説。緊張感や臨場感を与えてくれるという一般的効果に加えて、それぞれの映像がどのような固有の特徴を持っているのかということを、とくに時間、記憶との関係に注目しながら考察しました。 そしてその後、発表…

第18回 トリュフォー、オリヴェイラ、アンゲロプロス

まずは先日のガンスおよびラングの映像を、運動と光という映画の二つの本質的要素の強調として解説。さらにそうした強調がどのような効果をもたらしうるのかについても考察しました。 次のテーマはワンシーン・ワンカット。トリュフォー「大人はわかってくれ…

第17回 ガンス、ラング

まずは先週見てもらったグリフィスとエイゼンシュテインの映像について解説。平行モンタージュと対立モンタージュの違いを説明し、「衝突」の理論に含意されている弁証法的思考についても簡単に紹介しました。そして次の映像として、アベル・ガンスの「ナポレ…

第16回 グリフィス、エイゼンシュテイン

リュミエール兄弟による映像についていくつか補足した後、モンタージュのスタイルについて学ぶために、グリフィス監督とエイゼンシュテイン監督の作品をそれぞれ一部上映。その共通点と差異について気づいたことを書いてもらいました。ざっと見たところ、だ…

第15回 マグリット、リュミエール

まずはマグリットの語る二種類の類似について解説。モデルとコピーとの類似を中心に解説した後、参考までに、プラトニスムと超越の思考にも触れておきました。 そしていよいよ映画の話。今日は導入として映画史の流れをごく簡単に紹介し、リュミエール兄弟に…

第14回 イメージの裏切り

予定どおり、ルネ・マグリットの作品「イメージの裏切り」について、ミシェル・フーコーの分析に依拠しつつ解説。この作品が暴露すると同時に動揺させているイメージと言葉との関係についてはだいたい理解してもらえたのではないかと思います。 次は、2つの…

第13回 イントロダクション

後期からは映画。というわけで、通常とは別のやり方で「見る」ことを学ぶというこの授業の目的について前期の内容と関連づけながら改めて説明した後、映画史上極めて有名な2つのシーン、すなわち、エイゼンシュテイン監督「戦艦ポチョムキン」の乳母車のシ…

レポート締め切り

現代思想論および特殊研究のレポート受付はすでに締め切りました。これから提出してもらっても成績はつきませんのでご了承ください。

第12回 発表(10)

前期最終回の本日は、ウォーホール、マティス、マグリット。複製の問題、色彩の問題、表象の問題との関連で非常に興味深い発表でした。その場で多少補足的に説明したけれど、そのうちベンヤミン「複製技術時代の芸術」とフーコー「これはパイプではない」に…

第11回 発表(9)

本日の発表は、ピカソ、エルンスト、エッシャー、ロスコ。やはりみなさんお見事でした。 なお、補足的にちらっとお話ししたダダやシュルレアリスム、抽象主義や抽象表現主義については、以下を参照してみてください。 ダダロートレアモンモンドリアンポロック

第10回 発表(8)

本日は、ミレイ、アンソール、クリムト、藤田についての発表。残り回数が少なくなったのでコンパクトにまとめてほしい、という無理なお願いにきっちり答えてくれてかつ内容も充実しており感服しました。次回の方々もどうぞよろしく! なお、今日ご紹介したパ…

第9回 マネ&発表(7)

本日はまず私がフーコーのマネ論を紹介。残り回数も少なくなってきたので早々に切り上げ、次の発表へ。バルビゾン派、モローをやってもらいました。 今学期はあと残り3回。何とか全員に発表してもらうことができそうな感じです。

第8回 発表(5)

本日はルノワール、シスレー、セザンヌに関する発表。みんなよく調べてきてくれているのはうれしいんだけど、このペースだと全員終わりそうにないので、次の発表からは一人の持ち時間を15分程度に制限させてもらおうと思います。どうぞご了承ください。 とり…

第7回 発表(4)

今回も印象派についての発表。やはりみんな詳しくやってくれたので、来週までかかることになりました。授業中にも言ったけれど、前期はこんな感じで発表中心で終わりそうなので、後期に少し絵画の話を延長する予定。そして映画に関しては発表少なめにして主…

第6回 発表(3)

先週の続きで遠近法の発明に関する解説をやった後、今日から印象派についての発表。マネ、モネ、ドガをやってもらいました。たくさんの人に準備してきてもらったのに、例によって私が横からいろいろと口を挟んでしまい3名しか終わらずごめんなさい。次回は…

第5回 発表(2)

発表の第2回目。今日はアングルとブーグローについてやってもらいました。ご苦労さま。鏡の使い方の問題、裸体画の問題など、また後で戻ることになると思います。 それから、ルネサンスにおける遠近法の発明とその意味について簡単に解説。パノフスキーを紹…

第4回 発表(1)

本日は受講者の方々の発表。とりあえず19世紀以前の画家ないし作品のなかから、フラ・アンジェリコ、レオナルド・ダ・ヴィンチ、レンブラント、フェルメールについて紹介してもらいました。みなさんちゃんと調べて詳しくプレゼンテーションしてくれて大い…

第3回 モナリザ、ベイコン

まずは先日の続きでモナリザ。この絵のテーマとそれを表すと考えられるさまざまな要素について考察しました。 その後で、発表デモを兼ねてフランシス・ベイコンを紹介。昼ごはん前にはあまり見たくない絵であったかもしれませんが、とにかく強烈さは感じてい…

第2回 モナリザ

まず、発表の担当を決定。どの画家(あるいはどのようなテーマ)にするかまだ決まっていない人は、来週までに考えてきてください。 それから、前回に見て気づいたことを書いてもらったモナリザについて。見た印象や歴史的背景などについて紹介、解説した後、…

第1回 イントロダクション

前期は絵画について。今日は授業の進め方を説明し、何枚かの絵を見てもらって小手調べなど。 今後は、ルネサンス、印象派など、いくつかの枠にしたがって画家や作品を紹介した後、受講生の発表、発展的(思想的)解説、という順に進めていく予定です。ほどよ…

レポート締切

現代思想論、3ゼミ、特殊研究の期末レポートは、本日締切です(厳守!)。 提出方法その他についてはそれぞれ以下のページを参照してください。 現代思想論後期レポート 3ゼミレポート 特殊研究後期レポート

レポートの書き方

現代思想論、特殊研究、青学特講のレポートについて、どのように書けばよいかまだよくわからないという声がありましたので、以前「レポート評価基準」として授業で説明した内容を、「レポートの書き方」として個人サイト上に掲載しておきました。参考にして…

最終回 「表面と深さ」(2)

今年度最後の特殊研究。冬休みがあってあいだがあいたので、トゥルニエのテクストについて簡単におさらいをした後、表面と深さとの関係についてあらためて考察。表面を深さに対し第一義的なものとして考えるやり方を提示しつつ、トゥルニエの語る愛の表面性…

第24回 「表面と深さ」

トゥルニエのテクスト「表面と深さ」を読んで考えたことをまず書いてもらい、その後で、「経験」を「超越」したものに真理を見い出そうとする思想と、「経験」そのものの価値を復権しようとする思想との対立について私の方から解説。その上で、後者の思想が…

第23回「セクシュアリティ」

本日はまず、ヒッチコックの『白い恐怖』を一部上映。サルバドール・ダリのデザインによる夢のシーンを見てもらいました。精神分析のイメージということで。 それから、性を重要視する考え方と権力との関係、「セクシュアリティ」なる概念の発明、危険と予防…

第22回 フロイト、フーコー

まずは前回に出たいくつかの質問に対して回答しながら、精神分析について補足。それから、性を重要視する思考がいかなる意味において「凡庸」でありうるかという問いを、フーコーの『知への意志』から出発して考えました。 ちょっといろんなところに話が飛ん…

第21回 フロイト

前回読んでもらったトゥルニエのテクストから出発しつつ、今日は性と「深さ」との関係についてフロイトをもとに考察。「無意識」、「抑圧」、「夢」などといった基本的概念を辿りながら、精神分析入門を試みました。次回は、深いところで性を目指す感情がい…

第20回 ミシェル・トゥルニエ

本日よりテクスト読解。ミシェル・トゥルニエの『フライデーあるいは太平洋の冥界』の一部を原文と日本語訳にて配布し、まずひととおり読んで感じたこと、考えたことを書いてもらいました。そしてその後で、トゥルニエおよびこの作品について紹介し、そのう…